jeudi, juillet 28, 2011

「ミルク」ーPoe-Tri 2011,07,06 



これも、震災よりも前に書いたものです。震災後に原発の影響で酪農家がやむを得ず捨てていた牛乳の映像を見たとき、私は、自分で書いたにもかかわらず、不思議な、複雑な気持ちになりました。いま、牛たち、それを育てる酪農家たちは、もっと深刻な事態に陥っています。私たちは、ともすると忘れている犬や猫以外にも尊ばなければならない命がたくさんあるのだと改めて気づきます。
その気づきがなければ、きっと次の世代に引き渡すことができない窮地に立っているとも、切実に感じます。
明日への命。目の前に頼って、忘れかけている命の、あまりにも大きな存在に、もっともっと、もっともっと感謝の気持ちを持たねばならないと、苦しい気持ちに、なります。

この「ミルク」という作品は、あまりに唐突に、すっと出てきた言葉とリズムでありました。
2月頭のディルディルの前に、出来たのですが、当初はあまり気に入っていませんでした。
だから、どこかで発表するつもりなど、これっぽっちもなかったのです。
そういう作品はいくつかありますが、これをたまたま読んでくれたuraocbさんがディルディルでやったらいいのにと言ってくれなければ発表するなんてなかったし、ディルディルの当日に涼子(旧友)が聞いて気に入ってくれなければ、その後も続けて発表するなんて考えられませんでした。
一度目に読んでも、自分のモノである実感が無かった、という不思議な作品なのです。
この2月に書いたもので、もう一つの不思議な作品は「白昼夢」です。やっぱりこれも震災前ですが、震災後に書いたような、そんな錯覚に、自分でもなります。