lundi, juin 02, 2008

ランド・オブ・プレンティ★★★★★

なにも言うことがありません。
映画というものをこんなにもシンプルに素直に観せてくれる人。
映画というメディアに真摯に向かう人。ヴィム・ヴェンダース
ずっとヴェンダース作品は観て来た。私の中ではずっと注目している数少ない監督の1人。

以前、夜中のスカパーで通りすがりに最初の何分かを見逃した作品をあらためて拝見。
ドキュメンタリー映画も撮れる彼が「ドキュメンタリーにはしたくなかった」作品ランド・オブ・プレンティ。構想、脚本、キャスティング、撮影時間すべてで約2ヶ月だったという、恐ろしいスピードで作られた。そのフットワークの軽さにも驚くが、クォリティーには度肝を抜かれる。敏腕の撮影監督、若手でエネルギーあるスタッフの力で結集したというが、監督の統率力にあっぱれと言いたい。

9.11の事件以来、さまざまな作品が映画化されてきた中、ひと味違う角度から描こうとしたところに彼のオリジナリティが活きている。
ヴェンダースは自身で「僕の作品の中で、唯一“政治的要素”の強い作品だ」と語っているけど、私の思うところ他の作品にも政治的要素は見え隠れする。彼の意識としては“正面”から向かったという意味だと捉えた。

素朴で天使のように心美しいラナはミシェル・ウィリアムズでなければならなかったし、ジョン・ディールの抑えたイカレ具合も良かった。ふたりの微妙な関係と、一目見ただけでキャラが観客にわかるという点で、せわしなく決めたキャスティングには全く見えなかった。

やはり、この監督は、真の美しさ清らかさを描き続け、押し売りせずに魅せることが極めて長けているキワモノだ。

終盤の、ラナとポールの会話はひとつひとつがとても大切に「ランド・オブ・プレンティ」の意味に向けられている。
(ネタバレはしませんので、ぜひ、観てください!Land Of Plenty

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