mardi, juin 17, 2008

アメリカ、家族のいる風景 ★★★★★

評価、甘いかな。ヴィム・ヴェンダース監督には。。。

英題で、「Don't Come Knocking」実際、このタイトルのほうがしっくり来るのだが、観てからは邦題も悪くはないと思えた。
「パリ、テキサス」の名コンビ(脚本:サム・シェパード)。

「家族」というものは、血のつながりだけでもないのではないかと思うのだが、人と人との間には、目に見えない小さな約束事がたくさんある。「家族=社会」でもある。それは血が繋がっていようと、繋がってなかろうと関係なく“一人”の個体としての意識の中に、どれだけ相手を、受け入れられるのかってこと。互いに、別の人格を持っているということ。それを理解しながら(例え子供であっても)全てを受け入れるというのは簡単なことではないと、大人になって今更ながら考えてみる。だから、血の繋がりのない相手と密接になれることは希少だ。

結婚というものは、1つの制約でしかないのだと思うのに、それがいつしか絆のように硬く繋がれていくと思えるのはなぜだろう。自分が大人になったからだろうか?それとも、鈍く、そう思う方が楽だからだろうか?
そういうテーマも隠れている気がする。
サム・シェパード扮する西部劇のかつての人気スターが、撮影現場を馬で逃走するところから展開する。彼の今まで考えてきた生き方と、老いていく自分をふと振り返る分かれ道が、そのシーンから伺えるのだが、展開の仕方が明るく楽しげなのに、何処か滑稽で悲哀を醸しているところがこの作品の最初の見どころだと思う。

何にも束縛されないこと。それを自信としてやりきる手前、振り返った時の恐ろしさ。
両親にさえ自分の居場所を教えることなく30年もの長い時間を一人でいた主人公が、「家族」を求めて旅する様は、まるで年を取った子供のようでさわやかだった。「いまさら」というくらい時間が経ってはいたが、今それができるなら、と、観客に許すスキを与えている演出になっていた。

青年になった息子をじっと待つ時間。
大切な自分に目覚める時間。
かつての恋人に、自分の複雑な気持ちを整理できずにぶつけるシーンは(元恋人:ジェシカ・ラング)月日を物語る重さを見せていた。
最後の、娘からの父に贈る言葉、はっきりと覚えているがここには書かない。

すがすがしくて、軽快で、明るく、じっくりと熟成された感動を与えてくれる作品だった。

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