mardi, juillet 15, 2008

初夏、卒業したきみへ

卒業の日に


ある冬の寒い日
明るい表紙の絵からきみはぬけだしたように
突然あらわれた

四つのひざ小僧
かたいガラス窓にこちんとぶつかるので
ぼくたちは同じ色のトレンチコートはおってた

春になると
四つのひざ小僧は
それぞれ二つずつ向き合うようになって

夏になる前に
はなればなれになった

季節はうつろう三回目の節目で
三月ではないというのに
「卒業」とよぶ、この日に
夏はまだおわらないとあぶらぜみは啼く


きみによく似たデパートのマネキン人形は
きみによく似た髪型で秋の服をはおる

その凛々しい前髪のように
たがいのひざ小僧あわせてさわやかにお礼をする


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3年前に書いた詩をちょっと整理してみた。
詩集の制作の頃に、書いていたものだったろうと思う。
「卒業」とあるが、後輩が会社を辞めたときに作った、ある意味贈る言葉のつもりで書いたのを覚えている。
彼女は、美しいきりりとした姿の人だった。いま、何をしているのだろう。
その頃の会社は、社員たちが必死になっていろんなことをしていた記憶がある。
それなのに、なぜ、うまくまわなかったのか、ふしぎでしょうがない。
少なくとも、わたしのまわりにいた社員たちはいつも良きライバルで良き仲間であった。
みんな、みんなうまく「卒業」できてる今、あらためて思い出してみた。
自分も、うまく卒業できたのだろうか。
わたしはいまだに、あのとき作れなかった本のコトを気にかけることがある。
仕方のないことだけど、それだけ思いのつまった宝箱みたいなものだということも知っているから。

みんなに、ときどき無性に会いたくなったりして、ときどき同僚たちと食事を囲んだりしている。
輝いた笑顔の卒業生たち!カンパイ!

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