jeudi, mars 28, 2013

【闇】にかがやく ―― ワタリガラス(その1)


ワタリガラス/Corvus corax :(c)Wikipedia



 ワタリガラス・・・・
 闇のように黒く
 月のように妖しい
 魔術の話をしておくれ
 おまえの後を飛んで行く・・・ 
 (著)デイビッド カーソン「ジェイミー サムズ メディスンカード」の言葉より






ワタリガラスという単語を聞くと
建築家の友人が連れて行ってくれた映画のことを思い出す。
アラスカの神話を語るインディアンの男性。
そして、同時に星野道夫のことを思い出す。

自然を信じる。

どんなことがあろうとそれを貫くというのは、
簡単なようで難しい。
たとえ、暗闇に放り出されたとしても、
恐怖を乗り越えられるだろうか。
道夫はそれを信じていたに違いない。
しかし実際に襲われてきたのは
「自然のなかで育った熊」ではなかったようだ。

自然なら、信じられる。

・・・星野道夫と、ワタリガラスがだぶる・・・


(一旦話は旅します・・・)
3月9日に渋谷リエゾンでイベントを催したとき、俳優でありダンサーでもある福原冠氏に(低い跳び箱なら跳べる名義で)DJをお願いした。
彼は「悪い芝居」という演劇集団の『キャッチャーインザ闇』公演の真っ最中だった。
大阪から戻ってすぐ、これから新潟、そして東京という忙しい最中に引受けてくれたのだった。

そしてその後、東京での公演を見た・・・
イベントが終わってひと段落下したわたしは、桜を一望できるホームに立ってゆるやかに王子小劇場に向かった。ダンス、歌、同時進行する3つのストーリー。
(懐かしい・・・わたしが役者としてデビューした木野花演出の「物語」を思い出した。
あれもかなり役者は体力を使っていたように思うww)
それぞれの役者が放つ、台詞の鮮やかさ。言葉の持つ不明確さ。。。
ポップに見えるけれど全くポップとは言えないテーマだった。
むしろ、わたしには重く思えて、何かわからない暗さを持ち帰った。
それだからこそ、ダンスや歌や役者の持つ「愛らしさ」が必要だったのだと思う。
(脚本・演出、そして座長の山崎彬氏は悪い芝居の挿入歌の詞も手がけている)
懐かしい80年代風の掛け合いが、時代にちょっとだけミスマッチしていて、わたしはその微妙なさじ加減に好感を持った。すんなりお芝居に入っていけた。
反面、自分のなかで後半になればなるほどやっかいさ、処理しきれないものが澱となっていった。
「この世に生まれる」とき“闇”からやって来たわたしたち。
盲目から見えるようになったときのこと。
純真さとそこに漬け込む“闇”との合間で悩み苦しむこと。。。

われわれは、いつでもどこでも闇と背中合わせである。
そして一度そこに入ったらなかなか抜け出せないというのもまた“闇”の特性であるといえる。
暗闇が怖いのは、そのせいなのだろう。

「キャッチャー・イン・ザ・ダーク
 闇のなかで、わたしを掴まえて・・・」(注;導入歌より) ※うろ覚えなのであとで書き直します!



少し前に「闇」について考えていた。
それは「光」のことを考えていると必然なのだけれど・・・。
影ではなく、「闇」のなかでしか得られないもの。

ずっと掴もうとしている。
ずっと探し続けている。

それは孤独でしか得られない歓びでもあり、苦さなのかもしれない。
その苦味を知って、甘さをもっと甘く感じられますように。
けれど本当は怖くて、寒い。。

(話は戻って・・・)
星野道夫が、雪のなかで一人熊と対峙したときのことを思い出す。
死ぬということを怖いと思うまえに「自然」とその厳しさと闘う動物を信じぬいた人。
その孤独に価値があったかどうか、それを知っているのは本人か、あるいは神のような存在しかないのかもしれない。それでも彼は、孤独を怖れない心と躯を持っていたのだろう。
自然は時に“闇”を連れてくるのだ。それを受け入れる強さ・・・彼は強かった。


「闇」でなければ掴まえられない「何か」がある。
感覚の鋭敏さ。
温かいところでは育たない作物があるように、
厳しくなければ甘くならない果実があるように。

ワタリガラスは、闇のなかで光り、七色に輝く。
人知れず、けれども、美しく気高い。
誰にも出来ないことを、その翼と知恵とで実現してしまうというお話。
永遠にインディアンの言葉によって語り伝えられている。

最初のひと羽ばたきを暗闇でするとしたら?
群れから外れて飛び立つとき、その翼に不思議な力を宿しているよう。
自分らしさを風化させないワタリガラス。
伝説として語り継がれるのにふさわしい「生きもの(身近なもの)」なのかもしれない。


ワタリガラスのことは、また書きます。(からす全般も含めて)好きな鳥だから。




ところで・・・
リエゾンで福原冠が居て、お家みたいに音楽をかけてもらってよかった。
リエゾンで「悪い芝居」の音楽監督、岡田太郎さんにも出会った。
その流れで『キャッチャーインザ闇』を見に行けたこと。
やっぱり繋がる場所がどこかに、突然に、現れるんだって、あらためて思った。


ありがとうございました。。。


そして繋がりから、次のライブを故郷の足利でできることになりました。
てあしくちびるのお二人からネムネムさんへ・・・ありがとうございます。
(気合はいります!)よろしくお願いしまっす!!



☆☆☆

3月30日(土)
「M-FIELD vol.76」
@足利 NEMUNEMU
500円+Drink
open 19:00/start 19:30
出演:
てあしくちびる
田中雅紀
サワダヒロアキ
後藤理絵=Regina〈砂猫女王〉


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