mardi, août 08, 2006

6/9

いますぐに、涙は出ない
遠いその日
痛みと渇きの中で
見た事もない
夏の陽を呑み込むような
強烈な光の中で
何万個の影をつくったのか
わたしは知らない

いまも毎年、涙を流し
遠くをみつめて
苦しみ喘ぐ光景を
伝えようとする
思いの火は熱く燃えさかっている
魂の炎は以来の空をさまよい
わたしたちに語りかける

あの、暑すぎる日に
帰らなければならないとき
それが訪れてしまったとき
きみたちは いったい
どうするのかと
問いつめてくる

のうのうとした天日
ビキニの試着
ひからびた孤独
ビールの空き缶


近隣から投じられている
この夏の陽をはるかに超える
得体の知れない戦士が送り込まれる速報にも
わたしたちは少々、麻痺してきている

目の前で痛みを、渇きを、
満たしてあげられないまま
名前だけを何度も
叫び続けるだけ、の光景を
わたしたちは、想像ができないでいる

アスファルトのこの黒い道が
陽にフニャリと溶ける時間帯
爛れた影で敷き詰められた
巨大な川に見えてくる目玉を
わたしたちは、持っていない

どんなに
世界が近くなろうとも
地に撒かれた課題は
これっぽっちも、変わってはいないというのに

いま、わたしになにができるのだろう
あす、わたしになにができるのだろう

ありきたりの、自分への問いに
顎が痒い、と掻いたら
すぐに、痛みに変わった

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